今光陰矢のごとし、気がつけば夏休みシーズンも過ぎ、猛々しい暑さもピークを過ぎる頃でしょうか。海外に旅行された方もいらっしゃるかと思いますが、ところでこの感じに覚えはありませんか?飛行機で海を越え、海外の地に一足踏み入れたその瞬間、ふと感じる…「空気の違い」。
それが長いフライトからの解放感か、見慣れぬ地に対する憧憬か、あるいはその地独特の湿度や食べ物の匂いから来るものなのか、どれも主たる理由であることは間違いありません。
しかし何はともあれ、現地の人々や建造物に触れるより先に、異国の地に足を踏み入れるまさしくその瞬間に、私たちは海外を感じているのではないかと思います。
少々話がそれますが、外国語を学ぶ意義はしばしば「窓の形」を用いて説明されます。
この話では、様々な言語はそれぞれ四角形の窓や丸型の窓のような、それぞれ異なった形の窓に例えられます。同じ文章に触れるにもフィルターとして通す言語が変わればまた新しい景色が開けるんだという、なんとも夢と可能性に満ちたお話です。
同様に、異国の風に耳を澄まし、その国の空気を通すことで、日本と外国で同じものを見るにしても、それはまた新しいものとして私たちの眼に映ります。
海外の、日本とは「異なったもの」を楽しめることは海外旅行のもっとも大きい魅力ですが、「同じもの」が、眼に心に、異なった形で映るおもしろさも、それと同じぐらい魅力的なんだと思います。
|