「お茶会」という言葉から、皆さんはどのようなイメージを想起されるでしょうか。ためしにこの言葉でインターネット検索してみると、和服に身を包み綺麗に正座をした方々が、一列に並んで茶道をたしなむ光景がちらほら。
ですが、これを横文字の「ティーパーティー」としてみると、色とりどりの食器にケーキと紅茶が添えられた、瀟洒な場面が出てきます。
これら二つの「お茶」の文化は双方あまりにも独特であるがゆえに、厳密には同
一の言葉で括りきれないのですね。つまるところ文化の 独自性は、言語の翻訳
という作業によっては等価交換され得ないということでしょう。
ところで、「お茶会」といえば、かの『不思議の国のアリス』に出てくる、
「おかしなお茶会」のシーンが有名です。
このお茶会、お茶会とは銘打っているものの、お茶の描写はほとんど出てきませ
ん。このお茶会のメンバーはなぞなぞを出したり、突然 「昔々、3人の幼い姉妹
がおりました」と、お話語りが始まったり…
この「おかしなお茶会」、紅茶が出てくるシーンでもっとも印象的なのは、眠っているヤマネを起こそうとして鼻に紅茶をそそぐシーンでしょ う。紅茶に含まれる カフェインの覚醒作用を暗示した作者独特のユーモア…かどうかは分かりませんが、この荒療治もむなしく、このあとすぐにヤマネは寝入ってしまいます。
席を 立ったアリスが「あんなばかげたお茶会に出たの、生まれてはじめて!」と言うのももっともです。
ごく普通においしいものを食べて飲んで、 楽しくおしゃべり をする。
そういった日常性こそがお茶会の魅力だと、アリスも
身にしみて感じたのではないでしょうか。
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